2つ目のトピックは「広報・PRという仕事の現在地の可能性」。
田上氏は「マーケティングPR側とコーポレートPR側で分断が生じている」と述べた。
マーケティングPRはSNSでバズった、メディアにたくさん露出したという短期的な方向に寄ってしまいがちなのに対し、コーポレートPRは決算広報や危機管理広報といった守りを重視している。
どちらもとても重要なことであるが、「融合した視点でのPRプランをあまり見ない」と田上氏は分析し、次のような意見を話した。
「会社の組織構造として、経営者発想で守りながらも攻める全体像と、実際に攻めるHOWを融合するプランが生まれにくいのではと感じています。個人の能力よりも組織の問題だと思いますが、まずはSCALE PR ACADEMYのように自分の仕事と離れたところで勉強会を行い、少しでもマーケティングPRとコーポレートPRの両方の視点を学んだり自分と違う立場の人との交流を考えるところから始めるといいのではないでしょうか」
そんななか、株式会社刀でコンサルタントを務めた経験が、今の起業につながっていると田上氏は言う。経営者視点での自社ブランディングや危機管理広報をしながら、クライアントのマーケテイングPRも担当していたことを振り返った。スタートアップのひとり広報のように、社長や経営陣からさまざまな仕事を任され、辛いながらも立ち回る経験は「俯瞰して物事をとらえるマルチステークホルダー発想が身につくはず」と述べた。
ここから、最後のトピック「広報・PRパーソンのあるべき姿とは」に入っていく。
2024年は危機管理広報やPR主体の代弁者たる「背負い力」の重要性をあらためて見つめ直す年となった。こうしたなかで、田上氏は「経営陣と並走できるビジネス理解力と、社会や第三者の目線で、常に解決策を探したりと必然的に黒子役に徹することになるのでは」とした。
自分のPRをするのではなく、会社のため、経営者のため、パーパスのために全ての選択肢を持ってくれば、自ずと黒子になるわけだ。
本田は「インハウスの広報・PR担当者は会社やブランド、支援側のエージェンシーはクライアントを常に“背負っている”意識を持つことが大事。その思いを忘れずに、カンヌやPRアワードグランプリで受賞した際は、素晴らしい仕事をしたと誇りに持っていいと思う」とコメントした。
最後に、田上氏は「広報やPRはビジネスはもちろん、世の中を大きく動かす可能性を秘めている。」とエールを送った。だからこそ、SCALE PR ACADEMYが提唱するコンピテンシーを身につけ、PRパーソンとして成長していくことが重要なのではないだろうか。
当イベントをもって、SCALE PR ACADEMY 第5期のプログラムがすべて終了した。
今期のすべてプログラムは、
SCALE公式note(有料コンテンツ)にてアーカイブ動画視聴が可能となっている。リアルタイム参加ができなかった方や動画視聴を通じて復習したい方はぜひチェックしていただきたい。
また、来る2025年には、SCALE PR ACADEMY 第6期の開講を予定している。
詳細が決定し次第、プレスリリース(PR TIMES)にてお知らせするので、ご確認の上ぜひご受講してほしい。