PRパーソンをはじめ、すべてのビジネスパーソンが継続して学び続けられる「SCALE PR ACADEMY」は、今年で4期目を迎える。
SCALE Founder/PR ACADEMY 学長の本田哲也が、PRや広報、マーケティング、メディアの第一線で活躍する有識者を客員講師として招き、SCALEが独自に開発した5つのコンピテンシーモデルをもとに、PRパーソンに必要不可欠なスキルやマインドセットを学ぶ講義となっている。
2023年4月18日には、第4期の開講式が行われた。
前半は「SCALE PR MEETUP」と題した対談で、株式会社マクアケ 共同創業者/取締役の坊垣 佳奈氏と本田 哲也が登壇。後半はSCALE PR ACADEMYの開講式という2部構成で開催され、その模様についてレポートしていきたい。
創業当初から営業サイドと密に連携してPRネタを見出した
前半は「企業成長とPublic Relationsの関係性について語り尽くす」をテーマに、坊垣氏と本田が熱いトークセッションを繰り広げた。
坊垣氏はマクアケに共同創業者として参画し、長年にわたって事業や組織の成長をリードしてきたわけだが、初期の頃からサイバーエージェントの藤田社長に「広報・PRの重要性」について助言を受けていたという。
「Makuakeは、他のクラウドファンディングサービスよりも2~3年遅れてリリースした後発組だったゆえ、『プロモーション費が割けないぶん、しっかりと広報・PRに取り組まないと事業は成長しない』と藤田さんから言われていました。当時のクラウドファンディング市場は黎明期であり、その中で頭一つ抜きん出るためには『いかにサービスを知ってもらえるか』が非常に大事なことでした。ブランドイメージの認知やクラウドファンディングの実績、Makuakeを活用するメリットなどを世の中に浸透させ、お客様からサービスを選んでいただけるように意識してPRに取り組んできました」
創業当初の組織体制も、「開発や営業部隊と同列で、PRを重要なポジションに据えていた」と坊垣氏は話す。
Makuakeでクラウドファンディングの事例を作る、あるいはプロジェクトの起案者を増やすべく、草の根で営業活動をしていく際に、サービスの認知拡大や社会との合意形成がPRの力によってなされていれば、営業部隊の後押しになるからだ。
しかし、「最初の方は、何が“PRネタ”になるかわからなかった」と苦労を語る。
「手探りながらも営業サイドと密に連携しながら、メディアの露出文脈に沿ったネタを探して、プランニングしていました。ネームバリューのある企業・ブランドのプロジェクト掲載実績や、カテゴリーの中で最も支援金額(応援購入額)が集まった事例などを中心に取り上げてもらえるよう動いていましたが、意識していたのは『PR視点でインパクトがあるかどうか』ということでした。事業者、起案者の方から『マクアケと連携したらPRになる』」と言われるのを見据えつつ、どうすればサービスの認知拡大につながり、世の中に伝搬していくかを逆算してPRのネタを考えていたんです」
事業者向けのPRを担うチームがサービスの効果・効能を伝搬する役割に
Makuakeのサービス認知拡大に寄与した事例の一つとして、坊垣氏は飲食店のクラウドファンディングを挙げる。
「Makuakeは世界に先駆けて、飲食店開業の成功事例を作れたのが、PRインパクト的に大きかったと考えています。飲食店からの問い合わせが増えたのはもちろん、今までリーチできていなかった食の専門誌への露出にもつながり、大きな波及効果を生み出せたんです。ひとつのプロジェクトの成功が、その業界全体にインパクトを与え、大きなモメンタムとなって、サービスの成長に貢献した好例だと言えます」
続いて、マクアケのPRチームの特徴や、広報・PRに取り組む意義についてのトピックだ。
Makuakeでは月に600件を超える新規プロジェクトが生まれるという。
そんななか、PRチームの組織体制としては、①コーポレートPR(サービスPRを含む)、②プロジェクト広報の大きく2つの組織に分かれ、それぞれの担当領域ごとにPRを担っているそうだ。
「事業者や実行者向けのPRを担当するプロジェクト広報のメンバーは、プロジェクトとしてサイトに掲載される前から営業部隊と連携し、PR戦略を設計しています。場合によっては、広報がプロジェクトのローンチ前に行うMTGに出席し、キュレーター(営業・コンサル担当)や実行者(掲載主)と目線合わせをする場合もあるほか、プロジェクトが終わってもその後の活動や成果を追うようにしています。このような動きが、Makuakeの効果・効能を世の中に正しく伝える要因になっていると考えています」
聞き手である本田は、「Makuakeは新しい商品やサービスを扱うことが多く、世に出る前の情報だからこそ、ニュース価値がある。ある意味、プロジェクトの実行者側とMakuake側が“共犯者”となる関係性が、非常に秀逸だと思った」と感想を述べた。
坊垣氏は「例えば、新商品発表会とMakuakeの掲載開始日を合わせることで、シナジー効果を生み出すことができる。プロジェクトの成功の数だけ、Makuakeのブランドバリューも高まるわけで、プロジェクト広報はまさにこの役割を受け持っていると言える」と説明。
Makuakeにプロジェクトを掲載することで、商品の価値基準を見定めたり、メディアの反応の良し悪しをはかったりと、テストマーケティングの一貫としてMakuakeを活用できるのが、事業者のメリットになっているのではないだろうか。
2014年2月に「The life always new」をコンセプトにCINDERELLAを創業。ジャンルに問わず、キュレーションメディアやSEOライティング、タイトルワーク、記事ネタ出しなどに携わる。
最近では取材ライターとして国内外の観光スポットやイベントに足を運んだり、企業ブランド・サービスのインタビュー取材を主に従事。
またSNSや繋がりのあるPR会社から送られるプレスリリースをもとに、執筆依頼をいただく場合もあり、活動は多岐にわたる。
モットーはメジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ること。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に社会のA面B面を深堀していく。
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