広報活動におけるKPIはメディアの露出量なのか、それとも広告換算額なのか。
企業の認知度や価値向上に重きを置いたり、あるいは商品やサービスの利益向上への寄与を目標としたりと、企業ごとに成果指標の定め方は異なる。
令和トラベルでは、以下のような独自の
「PRポイント」を定めて広報活動を行っているという。
(情報濃度[露出に対する情報の質を5点満点で評価]+ ポジション[競合他社との関連性])× リーチ力 + α
「令和トラベルでは、スマホ1つでかんたんに海外旅行を予約できる『
NEWT(ニュート)』を運営しており、直近ではNEWTの指名検索を増やしたいという目標があります。
PRポイントに沿って一つひとつの露出に対してポイントを割り出していますが、NEWTは将来的に旅行代理店の一角を占めるサービスと成長させていきたいため、特にポジションを重要視しています。また、行動目標としてプレスリリースの数やメディアへの露出数も追っています」(大木氏)
本田はPRパーソンが定めるKPIについて、
「定性と定量の両方を決めるのが基本のき」だと説明。
加えて、令和トラベルが業界内でのポジションを大事にしている点を「三大旅行会社にはない価値を見出すために、自社のパーセプションを把握すること」だと解釈した。
一方、広報活動のKPIを決める際に生じるコンフリクトは、PRと経営層や事業部長と広報など、異なるレイヤー間で起こりがちである。
本田は
「PRパーソンとしては、広告換算値などの経済的価値を示す必要はない」と言いつつも、メディア露出の物量だけでは説明不足であることを指摘し、
「自社のビジネスにどんな影響を与えたのか、どのようなパーセプションチェンジが生まれたのかを明示できるようになるといい」と話した。
企業の認知度調査も参考指標にはなるものの、広報活動だけはなくマーケティング活動なども加味されるため、あくまで複合的な要素から算出されるものだ。
その点では、パーセプション調査に費用をかけ、経年変化で企業やサービスにおけるパーセプションを追うべきだと本田は話す。
「スタートアップのように費用がかけられない場合でも、
『ステークホルダー調査』のように取引先やメディアに対して地道にヒアリングしていけば、リアルな声を集めることができます」(本田)
続いては
「『語り部』になる難しさ」をテーマに議論が行われた。