SCALEのファウンダーの本田氏を中心に、事業会社出身からPR会社出身まで、経験や境遇は様々な中で独立という形で転身を遂げた5名がホンネを語ります。(左から大迫雄毅さん、野島優美さん、本田哲也氏、岡村真由子さん、佐賀晶子さん)
SCALE座談会:フリーランスPRパーソンの“ホンネ”(後編) ~企業とのマッチングについて/フリーランスPRパーソンの教育について~
フリーランスPRパーソンの“ホンネ”をテーマにした「SCALE」座談会。前編では、それぞれがフリーランスになった経緯や独立後して感じているメリットについてお送りしました。
後編は、企業との仕事のマッチングについて、そしてフリーランスとなった後の教育への課題について伺いました。
「10社あれば10通り」PRパーソンの企業ニーズとマッチング
本田氏:今回始動する「SCALE」というプロジェクトは大きく「企業とPRパーソンのマッチング」と「教育」の2つの軸があります。
まず、「企業とPRパーソンのマッチング」の部分では、企業側の「PRパーソンを紹介してほしい」というニーズは10社あれば10社違うわけで、それぞれのニーズに対応できるPRパーソンを一人ひとりの経験値を元に丁寧にマッチングしていきたいなと思っています。皆さんはフリーランスとして働く中で、先方の期待値と自分ができることのミスマッチを経験したことはありますか?
佐賀さん:私は最初にご相談を受けたタイミングで、その企業様の期待値がどこにあるのか、それに対して自分が応えられるかどうかを確認していきます。それから、事業フェーズやどれくらいPRというものを理解されているかによっても大きく変わるのでそのあたりも配慮しますね。
そして自分ではお役に立てないな、と思えばお断りしたり違う方をご紹介したりしますが、そこまでフリーランスの知り合いがいるわけではないので悩ましい時もあります。そういった時に頼れる「フリーランスPR人材のデータベース」があるといいなとちょうど思っていたところでした。
本田氏:私自身も独立してから、PR業界が長いこともあって、「いいPRパーソンいない?」っていう相談はすごく多いです。「そこまで経験ない方でいいから…」とか、「PR経験のある方ってどこにいけば出会えるか…」とか。
でもそういう企業が多いということは、すなわちお互いの機会損失が発生しているということであって、仕組化したいなと思ったのが今回「SCALE」を立ち上げたきっかけでもあるんですね。とはいえ、仕組化をするといっても「PRパーソンの履歴書がただ単純に閲覧できます」とかでは意味がないし、「自分の経歴を入れたら最適なクライアントが表示されます」とかはありえないですよね。企業広報とマーケティングPRも異なりますし、PRとひとことで言っても広いですから。
野島さん:私もよく実感するのは「PR」という言葉に含まれる意味の広さです。SNSで発信する、ポスターを作る、など、特定の手法を指して「PR」とおっしゃる企業や自治体の担当者の方も多い一方で、広告も含めた上位概念として捉えられている場合もある。最適な人を紹介できたらとも思いますけど、やはりネットワークには限界がありますからそこは悩みでした。
仮に最適な知人がいたとしても、ご本人がその仕事に対してどう思うかもありますから実際は紹介するべきか迷ったり…。
本田氏:履歴書だけで見ると「5年も地方自治体のPRをやってきたから、この地方自治体の仕事ちょうどいいじゃん!」ってなったとしても、逆にその方は「長いこと地方自治体のPR業務をやってきたからもういいや。違う領域のPRをしたい!」って場合もありますよね。
そして企業側もどういう求め方をすればベストなPRパーソンに出会えるのかと知りたがっているのはあると思います。法務や経理とも違い、PRパーソンは単純な履歴書の閲覧だけで採用すると不幸なマッチングになることがありますからね。
佐賀さん:求める人材に対する「要件定義」や「自社のニーズ」を把握できていないケースが多いかなという印象を持っています。PRってまだまだ理解されていないんだなと。
本田氏:そうなんですよ。ただPRをやることが目的ではなくてその先の達成したい事業上の目的があるはずですからね。全体のどこをPRでやっていくかという話があって、「ここを目的にしているからこの部分を手伝ってくれるこんなPRパーソンが欲しい」といったことは明確にしなければいけませんよね。
その「要件定義」が整っていないまま人材を探してくれ、となれば当然ミスマッチは起こります。ちなみに、岡村さんはいくつかの企業に所属をしているとのことですが、現状ミスマッチが生じていると感じたことはないですか?
岡村さん:今のところ幸い起きていないですね。仕事先の方から「こういう案件興味ある?」とか、「知人が広報を探しているけど会ってみてくれないか」といった紹介が多いので、私のバックグラウンドや仕事の仕方などを知った上で紹介して頂くことがほとんどです。なので、致命的なミスマッチだったことはないですね。みなさんとてもいい方で、刺激的で楽しい日々を過ごしています。
本田氏:紹介は大事ですよね。履歴書には書かれない性格とか、言語化されていない部分も含めて「この人」っていうのがわかっている分、ミスマッチリスクは減りますよね。