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コラム

2020-09-02

SCALEパーソンが語る広報PRの極意 第2回 〜PRパーソンは「人たらし」であれ。株式会社Scre 代表取締役/PRクリエイター・末谷公平さん〜

成長型PR人材データベース「SCALE」にはマルチに活動するPRパーソンが在籍している。 今回は、イベント会社やPR会社を経て独立した末谷公平さんを紹介したい。 利他主義的考えをもってPRに取り組む姿勢や、メディアリレーションズのTIPSについて深堀りしていく。

 
PRパーソンは「人たらし」であれ。幾多の現場をこなしたPRマンが語るメディアリレーションズの極意
 
SCALEはフリーランス・複業として活躍するPRパーソンが約400名登録する成長型PR人材データベースである。

企業のフェーズや規模を問わず、またブランディングやPR戦略立案、パブリシティ獲得など多様なニーズに応えられるのが、SCALEに登録するPRパーソンの特徴でもある。

今回はイベント会社やPR会社にて、数多くのプロモーションやPR案件の担当経験を持つ末谷公平さんを紹介したい。

イベント企画や運営を手がける株式会社テー・オー・ダブリュー(TOW)、サイバーエージェントグループ内でPR事業を担う株式会社CCPRを経て、現在は株式会社Screの代表取締役/PRクリエイターとしてWebに特化したPRを中心に活躍するPRパーソンであり、マルチな活動を行っている。

末谷さんがPRパーソンとして意識していることやポストコロナ時代のPRのあり方について、SCALE PR ACADEMY事務局が話を伺った。
 

PRに興味を持った背景

 
まず、末谷さんのこれまでのキャリアについて迫っていきたい。

もともとオフィス家具や空間デザインを手がけるオカムラにて、インハウスデザイナーを務めていた末谷さん。

PR業界に興味を持った背景について「大手メーカーだからこその恵まれた環境に面白みを感じられなかった」と振り返る。

「オカムラでは店舗設計や空間デザインを担当していたのですが、与えられた環境の中でこなす仕事よりも、若いうちはもっと裁量のある仕事がしたい。そう考えていた時に、たまたまイベント業界最大手のテー・オー・ダブリュー(TOW)の求人に目が留まり、ここでなら自分の力が試せるのではと思い、転職することに決めました」

TOW時代には大小様々なイベント案件に参画し、セールスプロモーションの上流から下流まで一貫して携わり、多くの経験を得たという。
 
「気づけば、PRイベントばかり手がけていた」と語る末谷さんは、現場をこなすことでPRが世の中にもたらす影響について身をもって体感したそうだ。

「イベント制作・プロモーションの仕事をTOWで数多く経験し、CCPRではWebを中心としたPR業務に従事しました。セールスプロモーションの中でも"PR”に特化して業務できたので、PRパーソンとしての駆け出しもそこまで苦労はしませんでしたね」
 

自分でPRを手がけたいと思い独立

 
末谷さんは、TOWやCCPRでの在職期間中に、アジア太平洋広告祭「ADFEST」や世界最大級の広告祭である「カンヌライオンズ」での受賞経験もある。

数々のPR案件をこなし、成果としても目に見えた形で現れ、文字通り順風満帆だった末谷さんが独立を決めたのはなぜなのだろうか。

「年齢的に、現場のプレイヤーから組織のマネジメントをする道もありました。けど、会社員を続けるという選択をしなかったのは『一気通貫で丁寧にPRに携わりたい』と思うようになったからです。キャリアのスタートはインハウスのデザイナーで、自分の中に“職人気質”が備わっていたのも影響しているかもしれませんが、とにかく自分でPRを手がけたいと。そうなった時に手段としては独立しかないと思いました」

PR会社のキャリアパスとしては、現場で経験をある程度積み、徐々にマネジメントへシフトしていく人が多いように感じる。
しかし、レールの敷かれたキャリアを歩むのではなく、自ら未来を切り開いていくフリーランスの道を選んだのは、PRの醍醐味を掴んでいたからであろう。

独立後はWebに特化したPRを主に手がけており、地方自治体やメーカーの案件をこなしているという。

「TVを中心としたPRパーソンや、PRコンサルとして独立する人は多いですが、Webに特化した形で独立している人は少ないかもです。様々な現場を経験してきたことを活かしつつ、『ファクト』を世の中にどう出せば、メディアやユーザーが反応するのか。PR視点に立ったプランニングを常に心がけています」
 

PRは露出してナンボの世界

 
「企画書はいい感じだが、世に露出できないことが多い」。

 末谷さんは様々なPR案件に携わってきたからこそ、企画ありきではなくあくまで「メディアに露出してナンボ」と説く。

「PRにおいて企画は重要です。ただ、どんなに素晴らしい企画を考えても、メディアに取り上げられなければ意味がないですし、非常にもったいないと思うんです。絵に描いた餅企画ではなく、いかに世の中へ“Impact”を与えられる企画を作り、メディアに届けられるかがPRパーソンの腕の見せ所なんですね」

 特に意識していることは「メディア露出から逆算して企画立案をする」ことだという。
もちろん、知名度がある場合は別として、いきなり名の知れない企業やブランドをメディア露出させるのは至難の技だろう。
 
 そこで、末谷さんはメディアとの接点を持つために様々な工夫を凝らしていると話す。

「メディア側の編集者やライターの方とは積極的に交流するようにしていますね。丁寧に関係性を築き、まめなやり取りを心がけていることはもちろん、自分の担当するPR案件以外の情報でも、『あの人、このネタ好きそうだな』と思ったものについては情報提供しています。自分発信で提案していくと、リレーションを作るきっかけになりますね。今は新型コロナの影響があり、新規でメディアとの関係性を作るのは難しいですが、それでも最低限SNSで繋がっておくことは抑えておきつつ、何か事あるごとにメッセージでやりとりして、関係が途切れないようにするのは大事だと思います」

 記者とのやりとりはとかく、淡白になってしまいがちだ。仕事の付き合いだからと、当たり障りのないコミュニケーションをするのではなく、メディアひいてはライターや編集者の人が「何に興味があり、どんなネタを探しているか」を把握する。

 フランクに情報提供できる人間関係を作ることこそ、メディアリレーションズには必要なのかも知れない。

「TV業界は結構交流する機会があると思いますが、Webってあまり横の繋がりがないと感じています。コロナになる以前は、毎年12月になるとメディアが主宰する忘年会に毎日参加していました(笑)。例えて言えば『コリドー街や恵比寿横丁へ行ったらナンパできるくらい、PRマンは人たらしがいい』ということですかね。PRやっていて思うのが、僕って人が好きなんです。色々な人と一緒くたになって1つのことを創り上げるのがとても面白いし、楽しいと感じていますね」
 

利他主義で考えることの重要性

 
末谷さんがPRに取り組む姿勢の根底には「利他主義」の精神があると感じる。

自分中心ではなく、あくまで主語がメディアやクライアント起点に立って物事を考えているからこそ慕われる存在となり、フリーランスのPRパーソンとして結果を出しているのではないだろうか。

末谷さんが日頃意識しているメディアリレーションズのTIPSについて伺ったところ、「前提としてメディア視点でPRを考える」とし、次のように説く。

「CMPR1つ取ってもただ世に出すだけではなく、工夫次第で様々なチャンスが転がっているんですね。例えば、芸能人をキャスティングした際に、サプライズで誕生日を祝う演出をすれば、SNSで拡散を狙える確率も高くなります。また、よくある囲み取材のような形式で芸能人の声を拾う場合も、場当たり的な質問だけでなく、PR視点でネタになるような一歩踏み込んだ質問を投げかける姿勢も大事だと思っています。

事務所NGの発言ももちろんありますが、場合によっては『タレントが言ったのだから、しょうがない』となり、思わぬ特ダネが聞き出せるかもしれない。メディアもネタを探しているので、フックになるようなネタがあれば、記事化したときに拡散されやすくなります。PRの仕事としてのマナーを守りつつ、攻めるところは遠慮せずにネタを拾いにいく姿勢が大切だと考えています」

また、メディア視点で考えるのは現場での立ち回りだけではない。

前述したメディア露出から逆算した企画立てをする際に、どういう切り口なら取り上げやすいかをあらかじめ先回りして情報や素材をまとめておくことも必要だという。

「これはよくやっていることだと思いますが、オフィシャルの報道資料には書けないことをメールや口頭で伝えることはやった方がいいですね。他社のことや具体的な数字など、フックになるような情報を散りばめることでメディアに興味を持ってもらいやすくなる。さらに細かいですが、インタビューカットをリリースに入れるとメディアの人は記事が書きやすくなります。

昨今はコロナでどうしてもオンラインでの対応が多くなり、つい商品や映像のカットだけになりがちですが、インタビューカットも用意した方が記事映えしますし、何よりWebメディアはサムネイル次第で読者のクリック率も変わるので、メディア視点に立って様々な記事内容に応えられるよう準備しておくといいでしょう」
 

PRの仕方次第で、もっと面白くなる

 
最後に、末谷さんの今後の目標やポストコロナ時代のPRのあり方について伺った。

「もっととんちを利かせたPRをすれば、面白くなる」。そう語るのはPR自体を“楽しいもの”と捉えているからだろう。

「世の中に埋もれてしまっているもののPRに関わり、世間的に認知度を高められたらいいなと思っていますね。1人で動いているので、ギャップを狙ったり奇をてらったりするアイディアを得るために、毎日ルーティンで情報招集する時間を設けています。

コロナでStayHomeになった頃から始めたんですが、つぶやき用のTwitterアカウントで毎日アウトプットし、自分の中で情報を整理しています。常に感度高く情報を取りにいくことで、様々なインスピレーションを得られ、業務にも活かせる。日頃から貪欲にPRのことを考えていれば、PRの仕事が好きになりますし、成果を上げようとモチベーションも高まりますね」
 

 
SCALEのような取り組みについても、ポストコロナ時代においてはこれからさらにスタンダードになるのではと予想する。

「大手PR会社に依頼しても、担当者の裁量によって結果が変わってくる。これがもし広告を売るとなれば、担当者の裁量でそこまで変わらないと思っています。つまり、これまでは汎用性の高いPRエージェンシーに依頼するのが一般的でしたが、世の中が変化し、PRに求めるニーズが多様化したことで、個の力量によってくるのではと考えています。案件ごとにチームが作られ、少数精鋭でPRしていくのが体系化してくれば、企業がPRパーソン個人に依頼することが増えてくるのかもしれません」

時流に沿ったPRをしていく上では、専門性に長けたPRパーソンのスキルを活かすことで、通り一辺倒な企画ではなくスパイスの効いた企画を生み出すことも可能になるだろう。

PRに対して貪欲な姿勢を常日頃から忘れない末谷さんの考えを参考に、PR業務に役立ててみてはいかがだろうか。

(インタビュアー:SCALE事務局 大迫 雄毅)
 
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末谷公平

著者
株式会社Scre/代表取締役・PRクリエイター。 メーカー~イベント会社~PR会社を経て、2017年にWebを中心としたフリーのPRマンとして独立、2018年8月に法人化。担当したPR案件ではCLIO/ADFEST/カンヌライオンなどの数多くの賞も受賞。 独立後、常にネットでの話題化・Twitterのトレンド入りを目指しながら地方自治体やメーカーの各種プロジェクトのPRに従事。
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