SCALE POWERED BY PR

コラム

2020-06-03

あなたを「PRのプロ」にする5つのチカラ

「PRのスキルをあげて成長したい!」という想いをもつすべての人に必要なもの。 それが、今回日本で初めて開発されたPRのコンピテンシーである「SCALE PR Competency Model」だ。

 
著者:本田 哲也 (ほんだ てつや)
所属:株式会社本田事務所 役職:代表取締役
 

あなたを「PRのプロ」にする5つのチカラ

 
あなたは、広報やPRの仕事に従事している、いわゆる「PRパーソン」だろうか。それとも、PRの仕事を志向している学生や転職志望者だろうか。あるいは、PR発想をもっと学びたいと考えているマーケティングや広告、メディア業界人だろうか。立場がどうあれ、「PRのスキルをあげて成長したい!」という想いをもつすべての人に必要なもの。それが、今回日本で初めて開発されたPRのコンピテンシーである「SCALE PR Competency Model」だ。
 
そもそも「コンピテンシー」とは、何らかの専門領域における「行動特性」だ。その領域で活躍する優秀な人材には共通する行動特性がある。つまり、優れた弁護士にもエンジニアにも、コンピテンシーはあるということだ。PR先進国の欧米には、優れたPRパーソンの要件となるコンピテンシーが定められている。日本はどうか。広報PR領域における人材教育プログラムや資格試験はあるが、これまでコンピテンシーに相当するものは存在しなかった。

「彼女が書くプレスリリースはいつも完璧だ」「彼のPR企画力はズバ抜けている」「あの人のメディア人脈は素晴らしい」――こうした優れたPRパーソンの評価はあっても、「ではなぜ彼や彼女はそれができるのか(できるようになったのか)?」という本質的な答えは、体系的に言語化されていなかった。コンピテンシーを定義することで、優秀なPRパーソンが発揮するパフォーマンスの再現性が上がる。それを学ぶことで、優秀なPRパーソンも増える。それが、コンピテンシーモデルの狙いなのだ。

ではさっそく、その5つのコンピテンシーを解説していこう。
 

1、マルチ憑依力 Multiple Stakeholder Adaptability

 
ひとつめが「マルチ憑依力」。多様なステークホルダーのインサイト理解を切り替えることができる能力だ。まるで「憑依」するかのごとく、PR主体である企業やブランド、メディア、インフルエンサー、従業員、株主など、複数にまたがるステークホルダーの立場やインサイトを理解しているのが優れたPRパーソンだ。重要なことは、その憑依を「瞬時にスイッチングできる」こと。ある意味、「多重人格者たれ」ということだ。マルチな憑依力が、難易度の高い合意形成を実現させる。
 

2、背負い力  Spokesperson-Ship

 
ふたつめは「背負い力」。常にPR主体の「代弁者=スポークスパーソン」として判断し行動できる能力だ。あらゆるPRパーソンは、優れたスポークスパーソンであり、PR主体の目的を背負った「代弁者」であるべき。「PR主体のPR」と「自分のPR」がごっちゃになってしまってはいけない(広報担当者が陥りやすい罠でもある)。そのためには、目的をブレさせず、企業やブランドなどのPR主体にとっての正当性は何か?守るべきものは何か?をしっかり理解している必要がある。
 

3、見立て力 Situational Forecasting Ability

 
みっつめが「見立て力」。社会の文脈や時流を把握し、PR主体への最適解を見いだすことができる能力だ。スタイリストが流行やその人のパーソナリティをふまえて最適な洋服を見立てるように、PRパーソンの真髄は、広い社会の文脈や時流を把握した上で、PR主体者への最適解を見出せることにある。
「世の中がこういう状況だから、積極的にPRしましょう!」だったり、「今の空気感だと、それをPRするのはリスクです」だったり、世の中のファクト情報を編集して先を予見し、主体者にとって有利ないし不利な「状況」が何かを見立てることができるのが優秀なPRパーソンだ。
 

4、ナラティブ力 Narrative Power

 
よっつめが「ナラティブ力」。世の中に向けたダイナミックで魅力的なストーリーテリングを構想できる能力だ。「ナラティブ(narrative)」とは、「語りかた」「語り口」などと解釈されるが、PRパーソンには、「世の中に対して語る」という発想が不可欠。本来のPR戦略とは、PR主体が何を語るか?というナラティブの策定があって、それがプレスリリースや発表会などの手段を通じて世の中に伝わっていく。
PR セントリックな時代では、それが広告などペイドメディア施策も包含する場合だってある。個々のメディア特性や戦術にとらわれない構築力が求められる。
 

5、変動実行力 Executional Flexibility

 
最後が「変動実行力」。「状況が変わる」ことを前提としたシナリオ設計と実行ができる能力だ。いかなる仕事でも、アイデアや戦略だけでは机上の空論。最後には実行力が大事になるが、PRパーソンにとって最大のポイントが、「予測できない変化対応」だ。100%思い通りになるPRなどあり得ない。「変化を楽しむ」ぐらいの、楽観と悲観のマインドバランスも重要だ。また、ねらい通りになるとは限らないからこそ、緻密なシナリオ設計と柔軟な対応を両立させる能力、多様な手段への知見が必要とされる。
 
ーいかがだろうか。
以上が、PRパーソンの「5つのコンピテンシー」だ。コンピテンシーとは、いわば「筋肉」のようなもの。
一流のアスリートは、自分がどの筋肉を鍛えるべきかを理解している。PRパーソンも同じこと。
あなたがスーパーPRパーソンになるために鍛えるべき「筋肉」は何なのか?まずはそれを理解する必要がある。そのうえで、日々の広報業務をこなしたり、関連書籍を読んだり、セミナーや研修に参加することをお勧めする。それが、最も効率よく効果的に、あなたが「PR界のスーパーアスリート」になる近道なのだ。
 
______________________________
16 件

本田哲也(ほんだ・てつや)

著者
本田事務所代表/PRストラテジスト。PRWeek誌「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」に選出された日本を代表するPR専門家。『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などの著作、講演実績多数。海外での活動も多岐にわたり、世界最大の広告祭カンヌライオンズの公式スピーカーや審査員を務めている。

関連する記事

この記事のタグ