SCALE POWERED BY PR

コラム

2026-05-13

SCALE PR MEETUP 2026 & PR ACADEMY 第7期「開講式」

 
広報・PRをはじめとする、すべてのビジネスパーソンが継続して学び続けられる「SCALE PR ACADEMY」。

今年で第7期を迎え、2026年4月23日には「SCALE PR MEETUP / SCALE PR ACADEMY 第7期 開講式」が開催された。
 

「AIによって生活者がどう変わるか」を注視すること

 

 
前半は「AIに選ばれ、ファンに愛される企業とは。『AI時代のPR』」と題し、「AI時代」における広報・Public Relationsの役割や理想のカタチ、そしてPRパーソンに求められる姿勢やスキルなどについて、佐藤 尚之氏(コミュニケーション・ディレクター/株式会社ファンベースカンパニー 取締役会長)によるキーノートセッションが展開された。

AI時代において、「マーケティングがどう変わるか」を生活者目線で予測した著書『AIに選ばれ、ファンに愛される。 変わる生活者とこれからのマーケティング』(日経BP)の著者でもある佐藤氏は、セッションの冒頭で「AI時代はPRの重要性がより高まっていく」と強調した。

同時に“やるべきこと”は増え、“担うべき領域”も広がり、従来のような戦略PRや空気づくりといった手法は通用しにくくなる可能性があるとし、「さまざまな前提が変わっていく」と示した。

佐藤氏は電通に25年間勤めた後に独立。これまでに5冊の著書を出すなど、40年近く広告・PR業界に関わってきた経験を持つ。そして関心領域はコミュニケーション全般へと広がり、「新規顧客への一方的な訴求」から「ファンベース」という方向に舵を切るなど、常に時流を捉えた形でマーケティングのあり方を追求している。

そんななか、AIの登場は産業革命以来の大きな転換点であり、マーケティングは根本から変わると予測した。
 

 
「重要なのは『AIによって生活者がどう変わるか』です。私はAIを活用する生活者を“世界一賢い生活者”と呼んでいますが、このままの流れでいくと、多くの生活者が商品を選ぶときはAIに頼るようになる。

例えば2024年のアメリカのブラックフライデーでは、すでに88%の人がAIを活用して買い物をしているというデータもあります。AIはごく短時間で価格比較から商品スペックの精査まで行い、さらには商品開発やマーケティング、広報の言葉の意図まで見抜き、社会情勢や市場の背景も熟知しています。加えて、AIはそのユーザー自身のことも誰より深く理解しているのです」(佐藤氏)
 

 
AIの社会浸透によって「情報の非対称性」が崩れ、企業優位の広告・PR手法は通用しなくなることから、マーケティングとPRは根本から変わっていくわけだ。

従来におけるBtoC(Business to Consumer)は、企業が生活者に対して自社に都合のよい情報を一方的に届ける構造だった。しかしAI時代には、企業と生活者の間にAIが入り込む「BtoAtoC(Business to AI to Consumer)」になる。

生活者は広告に触れた後に「AIにどれが良いか」を尋ねることはない。なぜなら、「膝に優しいランニングシューズは?」と最初からAIに直接質問するほうが早いからである。

AIは企業側の広告、広報、PRといったあらゆるアプローチを学習した上で、生活者に対して3〜5つの選択肢を提示する。生活者はAIと対話しながら、一緒に比較検討していく流れとなり、まさにAIと生活者は“パートナー”と言えるだろう。
 

 
すなわち、その構造は「BtoA with C」へと進化するわけです。

「AIは世界一賢いので、従来のBtoCにおけるマーケティングやPRのやり方がすべて『BtoA with C』に変わるのが大きな転換点です。一部を除いて、今までのtoC的なPRは意味がなくなるのではと思っています」
 

AI時代に企業が取り組むべき4つのアクション

 

 
まさに変化の渦中にあるなか、企業が取るべきアクションは大きく4つあると佐藤氏は話した。

まずは、AIに「選ばれる」こと。
AIが商品選びの入口になる時代において、当然AIに選ばれなければ、そもそも購買の土俵にすら上がれない。

そして2つ目は、その中で「最終的に選ばれる」こと。
AIは3〜5つの候補を提示するため、その中の1つに入らなければ売上にはつながらない。

3つ目は、AIに選ばれない場合の戦略だ。
例えば同じカテゴリーに100ブランドあれば、そのうち95ブランドはAIに選ばれない可能性がある。選ばれないブランドは淘汰されるリスクが高く、その前提を認識した上での打ち手が不可欠になると言えよう。

そして4つ目は、AIを使わない生活者へのアプローチだ。
ただし、スマートフォンの入り口自体がAIに置き換わる流れが進めば、この領域は今後大きく縮小していく可能性が高い。

これら4つの観点で捉えることが、これからの戦略設計において重要になるという。

また、AIに選ばれることの重要性を考える際、AIから提示されるのは3〜5つという数ブランドの候補に限られること。そして、AIごとに推薦結果は変わり、時間が経てば同じAIでも回答が変化する点を理解しておくことも大事だ。

では、AIに選ばれるためにSEOのようにアルゴリズムを攻略すればいいかというと、それは通用しないと佐藤氏は語った。

「アルゴリズムはブラックボックスであり、AIをハックして騙そうとすると信頼を失い、むしろ選ばれなくなるリスクがあります。AEO(AIエンジン最適化)は、従来のSEOとは根本的に異なるアプローチが求められるため、AIに信頼され続けること自体が、極めて重要かつ難易度の高い課題になっていくでしょう」
 

 
ではどうすればいいかというと、佐藤氏は図に示したAIに信頼されるためのフレームワーク「TRUST」の重要性を説いた。

AIが理解しやすい形に情報を整え、AIが読み取りやすい言語や構造で発信することに加え、AI自身は商品を体験できないため、人の実体験に基づくレビューは引き続き重要な要素となる。さらに社会的意義や一貫性についても、掲げている理念と実態が一致しているか否かは、AIによって容易に見抜かれる。

つまり、言動不一致が起きていれば、AIが「このブランドは信用できない」とし、生活者にレコメンドしないことも往々にしてあり得るというわけだ。

そうした観点を踏まえると、これまでは主に生活者(to C)に向けた情報発信だったのが、今後はAIに理解・評価されるための「to A」のPRが重要になると言える。

ここが今後のPRにおける重要な役割になっていくと佐藤氏は述べた。
 
49 件

古田島大介

ライター
2014年2月に「The life always new」をコンセプトにCINDERELLAを創業。ジャンルに問わず、キュレーションメディアやSEOライティング、タイトルワーク、記事ネタ出しなどに携わる。 最近では取材ライターとして国内外の観光スポットやイベントに足を運んだり、企業ブランド・サービスのインタビュー取材を主に従事。 またSNSや繋がりのあるPR会社から送られるプレスリリースをもとに、執筆依頼をいただく場合もあり、活動は多岐にわたる。 モットーはメジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ること。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に社会のA面B面を深堀していく。
このライターへ仕事の相談がしたい

関連する記事

この記事のタグ