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コラム

2022-09-01

SCALE PR ACADEMY 第3期「ナラティブ力」

 

PRにナラティブをうまく取り入れるための3つのキーワード

 
第2部のWorking Sessionでは矢内氏が登壇。
 

 
「『ナラティブ力』を明日のPRに活かす3つのキーワード」という講義テーマのもと、プレゼンを行った。

アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」 は、来年でサービス開始から10周年を迎える。

これまで累計26,000件以上のプロジェクトが誕生し、数多くの実行者の活動をサポートしてきた。

こうしたなか、矢内氏は「成果を上げているプロジェクトの多くは、ナラティブをうまくPR設計に取り入れている」と述べる。
 

 
「さまざまなプロジェクトが立ち上がるなかで、ナラティブ力を活かした事例を紐解くと、図のような3つの観点をキーワードに設計されたものがヒットにつながっている印象を持っています」

Makuakeは、固有のストーリーを持ったさまざまなプロジェクトを立ち上げる実行者が集うプラットフォームと言える。
 

 
また、単なるクラウドファンディングとしての側面だけでなく、世に出す前のテストマーケティングやユーザーニーズの把握、新商品のお披露目の場としても活用されている。だからこそ、言うなれば「ナラティブの製造装置」として称することもできるだろう。
 

Makuakeのプロジェクトから見るナラティブストーリーの好例

 
プロジェクトをもとに、ナラティブストーリーが描けている事例を紹介した。
 

 
最初は「パーパスを中心とした設計が出来ている」事例だ。

バスマットと体重計が一体化した「スマートバスマット」は、バスマットに乗るだけで無意識に体重測定ができるプロダクトだ。

スマホアプリで日々の体重の増減の変化を記録でき、セルフヘルスケアできるプロダクトとして注目が集まった。

しかし、プロダクトのメリットや利便性だけがこのプロジェクトを押し上げた要因ではない。

そこには創業者の父親が、ある日突然健康を害し、帰らぬ人となってしまった“原体験”があった。

突然といっても、亡くなる3か月前から急に痩せたという兆候が見られたことから、「気づけたはずの健康変化を見逃したことが二度と起きないように健康を守りたい」という強い思いがプロダクト誕生の背景になっている。

こうした思いを記者発表会で紹介したところ、大きくメディア露出につながったという。
 

 
続いては「生活者の関わる余白がある」事例として神山まるごと高専(仮称)設立プロジェクト(以下、神山まるごと高専)を挙げた。

このプロジェクトは、SansanやCRAZY、PARTYなどの起業家が、徳島県の中山間地域にある神山町に新しい学校を立ち上げるというもの。

内容的には壮大で、かつ有名企業が関わるプロジェクトとしてインパクトはそれなりに大きかったわけだが、特筆すべきは支援する側の生活者が関わることのできる余白が絶妙だったことだ。

プロジェクトにおけるリターンの設計は、成功を左右する重要なファクターであるが、神山まるごと高専の場合、30,000円のリターンとして神山まるごと高専に“先輩”として学校作りに関われる枠を設けたという。

1000人限定の募集だったそうだが、募集開始からわずか48時間以内に完売。
SNSの反響も非常に好反応で、プロジェクト自体の認知拡大にもつながったそうだ。

「“先輩”というキーワードに辿りついた経緯として、未来や価値を社会にしっかり伝えること、そしてその学校の未来に積極的に関わる仲間を集めることが根底にありました。プロジェクトメンバーとさまざまな議論を重ねるなかで『高専のアイデンティティのひとつは先輩であり、学校作りに思いを持つ大人たちが先輩として関われたら、非常に面白いのでは』という考えに行き着きついたのです。応援購入という形でプロジェクトを支援して終わってしまうのではなく、継続的に学校作りに関わってもらえる手触り感や余白をプロジェクトメンバー全員で意識しました」

最後は「マルチステークホルダー体験が考えられている」事例だ。
 

 
IT企業を経て日本酒を作るスタートアップを創業した酒井優太氏による日本酒ブランド「HINEMOS」が、老舗酒造とタッグを組み、神奈川県小田原市に初の酒造を作るプロジェクトである。

酒造免許を新規に取るのが非常に難しいという状況があるなか、酒井氏は井上酒造で委託醸造を行いながらHINEMOSを主にEコマースで販売していたという。

その井上酒造で出会った杜氏が湯浅俊作氏という人物で、愛知県で300年の老舗を誇る森山酒造の12代目だった。

両者はいつの日か、一緒に酒造りをやりたいという話をしていたそうだが、奇しくも森山酒造の11代目当主の体調悪化によって、神奈川県小田原市に移転を決意することに。

酒蔵移転という大きな門出に、今まで酒造りをサポートしてきた井上酒造への感謝の念や配慮、そしてさまざまなステークホルダーを意識したプロジェクト紹介文は、秀逸にまとめ上げられ、サポーターの心を掴んだのだ。

このように、成功を収めたMakuakeのプロジェクトからは、ナラティブの勘どころが随所に伺える。

魅力的なリターンの設計はもとより、サポーターが関われる余白を作ることも大事なことだろう。

だが、訴求する対象を広げすぎても、プロジェクトの解像度が低くなってしまい、逆に狭くしすぎてもマニアックになってしまい、報道バリューがなくなる。

その絶妙な塩梅を見つけることが、まさにPRパーソンが抑えるべきポイントなのかもしれない。

次回は「変動実行力」をテーマにセッションを展開していく。

詳細情報/申し込みについては、下記Peatixを参照してほしい。
 
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古田島大介

ライター
2014年2月に「The life always new」をコンセプトにCINDERELLAを創業。ジャンルに問わず、キュレーションメディアやSEOライティング、タイトルワーク、記事ネタ出しなどに携わる。 最近では取材ライターとして国内外の観光スポットやイベントに足を運んだり、企業ブランド・サービスのインタビュー取材を主に従事。 またSNSや繋がりのあるPR会社から送られるプレスリリースをもとに、執筆依頼をいただく場合もあり、活動は多岐にわたる。 モットーはメジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ること。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に社会のA面B面を深堀していく。
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