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コラム

2022-09-01

SCALE PR ACADEMY 第3期「ナラティブ力」

 
広報・PRやマーケティング分野の第一線で活躍する人物を客員講師として招き、半年間に渡る講義で継続的な学びの機会を提供する「SCALE PR ACADEMY」。

第4回は「ナラティブ力」をテーマにした講義が8月25日に開催された。

変化の激しい現代社会において、その時流を掴み、いかにダイナミックで魅力的なストーリーテリングを構想できるかが鍵となってくる。

ブランドやサービスの代弁者として振る舞うPRパーソンにとっても、ナラティブな発想をもとに琴線に触れるような脚本設計をする力が問われる時代になった。

今回は『ナラティブカンパニー 企業を変革する「物語」の力』の著書であり、SCALE Founder/PR ACADEMY 学長の本田哲也氏と、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」を運営する株式会社マクアケの執行役員/コミュニケーション戦略本部長 矢内加奈子氏が登壇。

ナラティブ発想を身につけるために必要なことや現場での実践法についてセッションを展開した。
 

ナラティブとは「物語的な共創構造」である

 
第1部のInspiring Sessionでは「今注目を集める『ナラティブ』」というテーマのもと、本田がセッションを務めた。

昨今、PR業界のみならずあらゆる領域で注目を集めている「ナラティブ」。
なぜナラティブという概念が、折に触れて注目されているのだろうか。

本題に入る前に、そもそもナラティブとは何かについて見ていこう。

辞書によれば「物語、語り口」という意味が記されているナラティブだが、本田はこの言葉の定義を「物語的な共創構造」だと捉えているという。

要するに、企業やブランドが発信する一方的なストーリーではなく、従業員や生活者、株主などといったさまざまなステークホルダーと共に物語を紡いでいくことを意味する。

そんななか、ナラティブと同じような意味合いを持つ言葉にストーリーがある。

ストーリーはどちらかといえば、企業やブランド主体でヒストリー、秘話などを見立てて語るニュアンスを含んでいるが、両者は互換性があり、かつ共通点として「創始者や企業の強い想いが起点になっている」ことだ。
 

 
「ナラティブは企業やブランドのほか、多くのステークホルダーも『演者』として物語に参加します。また、ナラティブは常に現在進行形であり、未来まで続いていくことから、ストーリーのように終わりがありません。そして、会社起点で発信するストーリーではなく、ナラティブの『舞台』は社会全体のマクロな視点から俯瞰して物語が描写され、業界や業種という枠にとらわれず、大局的な潮流から語られるのが特徴になっています」

ナラティブな語り口を創造し、物語的な共創構造を生み出すこと。

そして、その構造の中でPRを行い、業績や企業価値の向上を果たすことが求められているわけだ。
 

PR活動でナラティブを実践するための5ステップ

 
このようなナラティブ発想に立って、PR活動で実践していくには「5つのステップを踏んでいく」ことが肝になると本田は説明する。
 

 
「まずは企業の存在意義を示す『パーパス』を設定するのが先決です。パーパスを明確化しないとナラティブ発想をもとに物語を紡いでいく際の起点が定まらないからです。具体的な目的が決まったら、それをもとに社会的なパーセプション形成のためのナラティブの切り口を考えていきます。

そして、具体的にスクリプトを作成していくわけですが、ナラティブを意図的に生み出し、維持していくための脚本・道標となるため、最も重要なステップです。そして、その脚本をもとにステークホルダーと好意的な関係性を築き、共創し、社会の体温を見極めたコミュニケーションの方向性を探っていく。このような流れがナラティブ実践のステップになります」

ここで、本田はナラティブを生かしたPR活動の事例について紹介した。
 

 
まずは味の素冷凍食品の冷凍餃子だ。

以前、Twitter上にて同社が「冷凍餃子を使うことは『手抜き』ではなく『手“間”抜き』」とツイートした内容が大反響になった。

それまで、冷凍食品は手抜き料理の象徴として捉えられていたパーセプションが、冷凍食品を活用することは手抜きではなく、生活を豊かにする選択肢のひとつとして認識されるきっかけになったのだ。

特に意図して起こしたアクションではないが、ツイートの反響とともに、プレスリリースで味の素冷凍食品が冷凍餃子を作る思いを表明した。

加えて、手間を可視化するために、冷凍餃子が工場で作られる様子を見せるムービーを作成。実に144もの工程を経てできあがる冷凍餃子の全容を動画で公開したところ、多くのメディア露出につながり、生活者のパーセプションの変容に寄与した。

次いで複数の事例を挙げ、国内外の企業のナラティブなアプローチについて解説したが、事情によりこの記事では割愛する。

セッションのまとめとして、本田は「ナラティブスクリプトの実践法は図のように3つあり、社会的な大局観や時流を掴んだ上で、自社やブランドが入り込む正当性を見出し、顧客のみならず、従業員、株主、世の中の生活者などのマルチなステークホルダーの未来を創造することが大事になる」と語った。
 
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古田島大介

ライター
2014年2月に「The life always new」をコンセプトにCINDERELLAを創業。ジャンルに問わず、キュレーションメディアやSEOライティング、タイトルワーク、記事ネタ出しなどに携わる。 最近では取材ライターとして国内外の観光スポットやイベントに足を運んだり、企業ブランド・サービスのインタビュー取材を主に従事。 またSNSや繋がりのあるPR会社から送られるプレスリリースをもとに、執筆依頼をいただく場合もあり、活動は多岐にわたる。 モットーはメジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ること。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に社会のA面B面を深堀していく。
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