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コラム

2022-07-11

SCALE PR ACADEMY 第3期「背負い力」

 

PRパーソンが理解しておくべき原理原則

 
続いて第2部のWorking Sessionでは「PRの原理原則とPRパーソンの考え方、生き方について」と題したテーマで尾上氏が登壇。

パブリック・リレーションズに携わるPRパーソンの考え方や生き方について学ぶセッションとなった。

尾上氏は開口一番、「PRプリンシパル(原理原則)をさまざまな角度から理解しておく必要がある」と述べた。

社会環境の急速な変化に伴い、PRパーソンに求められる役割も多様化し、仕事としてパブリック・リレーションズに携わる上では、PRの原理原則を理解しておくのがより重要性が高まっているといえよう。

そんななか、尾上氏はパブリック・リレーションズの定義について、「個人や組織体が最短距離で目標や目的を達成する『倫理観』に支えられた『双方向コミュニケーション』と『自己修正』をベースとしたリレーションズ(関係構築)活動」だと話す。
 

 
「倫理観は2つの要素で形成されています。1つは全体最適の観点から最大多数の最大幸福を考えていく功利主義。もう1つは少数(マイノリティ)を取り残さずに声を拾っていく義務論。この2つのどちらか一方が欠けてしまっても、企業のPR活動が誤った方向に進んでしまう恐れもあります。倫理観はある種、GPS機能を果たす役割があると考えていて、功利主義と義務論の両方の側面から俯瞰的に物事を捉えることで、目指すべき正しい方向へ導くことができる。もし、間違った道に進みそうになっても、確固たる倫理観を持っていれば、しっかりと軌道修正することができます」

また、双方向コミュニケーションについては、「非対称性双方向コミュニケーション」と「対称性双方向コミュニケーション」の2つに大別されるという。

「SNSが発達し、インタラクティブなコミュニケーションはPRパーソンにとってイメージしやすいものになっています。ただ、情報の送り手側が圧倒的に情報を持っていて、情報の受け手側は絶えず情報が少ないといった状況が多く見られます。要は、情報の受け手であるステークホルダーよりも、企業側の方が多様な情報を有しているため、双方向でフラットなコミュニケーションが生まれにくいのが『非対称性双方向コミュニケーション』です。

他方、『対称性双方向コミュニケーション』は互いに影響を与えあい、双方が変容していくような、透明性の高い情報発信を行うのが特徴で、こうしたコミュニケーションを継続していくことで企業とステークホルダーとの間に公正と信頼が成り立つようになります」
 

パブリック・リレーションズの中核となる強みは「メディアリレーションズ」

 
そして、外部環境が絶えず変化するなか、「自己調整機能」を身につけて柔軟に適応していく力もPRパーソンに必要になってくるという。
 

 
「図示したように、リサーチやターゲット設定、エグゼキューションなど、さまざまなPR活動において、自身が持っている情報をもとに関係性を構築したりマネージしていったりすることが大切になります。目まぐるしく変わる社会環境では、10年前、20年前に策定したルールは通用しないことがほとんどです。今の時流に合わせ、しっかりとアジャストしていくことが肝になります。あらためてパブリック・リレーションズに立ち返って考えてみると、企業や団体といった組織体がステークホルダーとの関係を構築・維持を図る『リレーションシップ・マネジメント』の総体がパブリックリレーションズだと言えます」

従業員や株主、消費者、地域社会、政府など、マルチなステークホルダーが存在している社会では、さまざまなアプローチによるリレーション構築を行い、企業とステークホルダーとの間で良好な関係を築いていくことが中長期的に大事になってくる。

リレーション構築の手法としては、メディア・リレーションズのほかガバメント・リレーションズ、インベスター・リレーションズ、コミュニティー・リレーションズなど、多種多様な種類があるだろう。

こうしたなか、尾上氏は「パブリック・リレーションズのコアコンピタンスは、メディア・リレーションズである」と語る。

「ステークホルダーと持続可能なコミュニケーションを図っていく上で、メディアを使わない手はないと言えるほど、メディア・リレーションズは重要な位置づけだと捉えるべきです。好意的な企業イメージを形成していくのはもちろん、誤解が生じている状況を打破するのもメディアを活用するのが効果的だからです。つまり、メディアと関係性を築いていくのが専門のPRパーソンは『メディア・リレーションズ』と『その他のリレーションズ活動』を掛け算できる。これが、PRパーソンならではの強みになっていると思います」

メディアを巻き込み、好意的な報道や露出を重ねていくことで、ひいては世論を動かす契機にも繋がっていく。そしてそれが、ロビイングやガバメント・リレーションズにも追い風となり、企業と社会との良好な合意形成を生むきっかけにもなるわけである。
 

パブリック・リレーションズで大切な3つの要素

 
ここまで展開してきた講義をラップアップさせる形で、尾上氏はパブリック・リレーションズが目指すべきことをこう説明する。

「アウェアネス(認知)の獲得は、PRパーソンであれば息を吸うように取り組むべきでしょう。その積み重ねから、ステークホルダーのパーセプションチェンジ(認識の変容)につなげていき、最終的にはビヘイビアチェンジ(行動の変容)にまで昇華させていく。これがパブリック・リレーションズを行う上で見据えておくべき成果だと考えています。また、パブリック・リレーションズには『社会性』、『時事性』、『新規性』も大切な要素になっており、メディア・リレーションズにおいてもこれら3つを意識しながらPR活動をしていくのが望ましい姿となります」

最後に、尾上氏はPRパーソンに求められる基本条件と資質や能力について紹介し、セッションを締めくくった。
 

 
「図のように、PRパーソンは倫理観、ポジティブ思考、英語(語学)力、IT能力、シナリオ作成能力の5つの基本的な条件を兼ね備えておくことが求められます。これらをベースに、さらにマーケティングやクリエイティビティなどの資質を高めていくことで、リレーションシップ・マネジメントができる幅が拡大していき、キャリアアップにもつながるでしょう。

メディア・リレーションズ以外にもカスタマー・リレーションズやエンプロイー・リレーションズ、インダストリー・リレーションズなど、さまざまなリレーションズ活動があるので、自分の持つ能力を最大限発揮しながら、PR活動として取り組む領域を広げていくといいのではないでしょうか」

世の中の時流を読み、社会の変化に柔軟に適応しながら、適切なコミュニケーション設計を行うことが、PRパーソンに求められるだろう。

次回は、社会の文脈や時流を把握し、PR主体にとっての最適解を予め推測するための「見立て力」について議論を深めていく。

詳細情報/申し込みについては、下記Peatixを参照してほしい。
 
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古田島大介

ライター
2014年2月に「The life always new」をコンセプトにCINDERELLAを創業。ジャンルに問わず、キュレーションメディアやSEOライティング、タイトルワーク、記事ネタ出しなどに携わる。 最近では取材ライターとして国内外の観光スポットやイベントに足を運んだり、企業ブランド・サービスのインタビュー取材を主に従事。 またSNSや繋がりのあるPR会社から送られるプレスリリースをもとに、執筆依頼をいただく場合もあり、活動は多岐にわたる。 モットーはメジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ること。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に社会のA面B面を深堀していく。
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