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コラム

2020-09-04

SCALE ACADEMY_第3回 背負い力 Spokesperson-Ship

PRパーソンが継続して学びを得られる「SCALE PR ACADEMY」。先月の「マルチ憑依力 Multiple Stakeholder Adaptability」に続き、第3回は「背負い力 Spokesperson-Ship」をテーマにしたセッションが8月25日に開催された。

 

PRパーソンに背負い力が求められるわけ

 

 
第2部は「ガラス張りの時代に重要なPRパーソンの「背負い力」とは」というテーマのもと、PRパーソンに求められるスポークスパーソンシップの重要性や背負い力を養うためのヒントについて上村氏がセッションを行った。

そもそも、なぜPRパーソンに背負い力が必要なのだろうか。上村氏は「企業や商品の代弁者として、世の中に何を伝えるべきか判断することが必要」とし、次のように説明した。

「PRパーソンは社会と企業・商品のコミュニケーションハブであり、情報伝達するためにメディア露出やSNS拡散を狙うのも広報活動のうちの1つですが、単なる『情報伝達係』や『メディア露出屋』にとどまるのではなく、PR対象物を背負ってメッセージを構築・発信する必要があります。現代はSNSが発達し、企業や商品の情報に対して誰もが簡単に調べられたり、SNSで簡単に意見を発信したりすることができるガラス張りの時代。そんな中で、PR対象物の価値やそれを取り巻く環境の向上へと導くためにも、PRパーソンには背負い力が求められていると考えています」

メディア露出やSNS拡散の最大化を実現できても、それが炎上を招く自体となり、ブランド毀損に繋がってしまえば元も子もないだろう。

SNS時代と言われて久しい中、企業を取り巻く環境は取り繕うことができないガラス張りの状態であることを認識し、客観的な視点を持って時流を読まなくてはならない。

ときに、世の中の文脈に沿っていないコミュニケーションをしてしまう懸念があれば、上司やクライアントにNGと進言することも必要である。
 

PRによって解決したい課題を明確にする

 

 
企業広報に関わるからと、ただメディア露出の獲得や情報伝達に徹するのではなく、まずは「広報によって解決したい課題は何かを明確にすること」が大切だと上村氏は話す。

「PRのゴールは、企業・事業・商品・人物といったPR対象物のバリューアップ(価値向上)です。商品購入やサービス利用、採用、信用獲得、資金調達など企業ごとにそれぞれ達成したい目標を定めていると思います。広報活動をすることで、PR対象物のブランドや商品が「選ばれるため」の環境づくりをすること。逆を言えば「選ばれない」機会の最小化を目指すことこそ、PRパーソンの役目になるでしょう」

ここで、上村氏はPRパーソンの背負う力が顕著に出た最近の事例を紹介した。

夜ごはんに妻が冷凍餃子を出したところ、夫が「それは手抜きなのでは」と発言したことを端に発し、Twitter上で大きな論争を生んだことが話題になった。

とある夫婦間での、ふとしたやりとりから社会的に大きな反響を呼ぶこと自体、何が火種になって拡散されるかわからない事例の典型例だろう。

このような社会的論調が広まる中、冷凍餃子を製造・販売する味の素の公式Twitterが発信したツイートが共感を集めているという。

「味の素は、冷凍餃子を出すことが『手抜き』ではなく『手“間”抜き』と表現し、家事・育児をこなす生活者へ向けてメッセージを発信したことが非常に共感を呼びました。『手“間”抜き』という言い得て妙な表現もさることながら、冷凍餃子を販売する企業の代弁者として、生活者に対して的確なコミュニケーションを行なったこと。これが多くの共感を集めた理由なのではないでしょうか。これには、反対意見も出ていましたが、企業として真摯に向き合って対応する姿勢が見られたため、結果的に味の素のツイートは多くの生活者の心に響きました。まさに、『背負い力』が発揮されたいい事例だと思います」
 

PRパーソンはリスクリターンを常に意識する

 
共感を集めたツイートが元となり、味の素のTwitter運用者への取材やこのツイートを背景にした記事化など、多くのメディア露出に繋がり、バリューアップ効果も見られた事例である。

ただ、今回の事例では一歩間違えば火に油を注いでしまう懸念も当然ながらあろう。

生活者視点で考えずに、企業に寄った形で身も蓋もない伝え方をしてしまえば、良かれと思って発信したツイートから炎上を招いてしまい、最悪の場合ブランドの失墜に繋がる恐れもある。

PR対象物を背負う立場として、PRパーソンは常に世の中の動向を意識しながら、どんなリスクリターンがあるのか想像し、どのようなコミュニケーションを構築すればいいか考えることが大切になるだろう。

今回のセッションのテーマであるブランドマネジメントの考え方やスポークスパーソンシップは、PRパーソンがまとうべきものであり、実務においても必ず役立つはずだ。

次回は、社会の文脈を把握してPR主体の最適解を見出すために必要となる「見立て力」について議論を深めていく。
 
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古田島大介

ライター
2014年2月に「The life always new」をコンセプトにCINDERELLAを創業。ジャンルに問わず、キュレーションメディアやSEOライティング、タイトルワーク、記事ネタ出しなどに携わる。 最近では取材ライターとして国内外の観光スポットやイベントに足を運んだり、企業ブランド・サービスのインタビュー取材を主に従事。 またSNSや繋がりのあるPR会社から送られるプレスリリースをもとに、執筆依頼をいただく場合もあり、活動は多岐にわたる。 モットーはメジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ること。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に社会のA面B面を深堀していく。
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