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コラム

2021-07-13

SCALE PR ACADEMY 第2期「背負い力」

 
PRパーソンが、第一線で活躍する一流の講師陣から学びを得られる「SCALE PR ACADEMY」。
先月開催の「マルチ憑依力 Multiple Stakeholder Adaptability」に続き、今回は「背負い力 Spokesperson-Ship」を講義テーマに掲げて去る6月30日(水)に開催された。

PRパーソンは企業やブランド、商品・サービスなどを背負い、代弁者として振る舞う必要がある。
「代弁者=スポークスパーソン」として、ブランド・サービス理解はもちろんのこと、情報発信におけるOK/NGの境界線やPR主体(PR対象物)に関する知識、ブランドマネジメントの理解などをもとに、的確に判断してアクションしていかなければならない。

今回は長年、企業のマーケティング戦略の立案やブランドマネジメントに従事してきた音部 大輔氏(クー・マーケティング・カンパニー 代表取締役)と、「Makuake(マクアケ)」の創業時から広報組織を立ち上げ、「Makuake」の認知度向上に貢献した矢内 加奈子氏(株式会社マクアケ 執行役員 / 戦略広報本部長)を招き、ブランドマネジメントで意識するべきことや、スポークスパーソンシップに沿ってPR活動する上で抑えるべき点について議論を深めた。
 

PRパーソンはブランドの「意味」を理解すること

 
第1部のInspiring Sessionでは「ブランドマネジメントとPR - PRがブランドマネジメントに貢献するために」というテーマのもと、ブランドマネジメントの要諦について音部氏が講義を行った。

企業広報であれ、PRエージェンシーであれ、PR対象として背負っているものが必ずあるだろう。自社のブランドや商品あるいはクライアントのPRを行う上で、ブランドマネジメントの一翼を担うためには、まず「ブランドが確立したい意味を理解するとともに、ブランドの存在意義や価値を見いだすことが重要だ」と音部氏は語る。
 

 
「私は様々な企業のマーケティングに携わってきたなかで『ブランド=意味』と認識しています。それぞれに定義を考えるところはありつつ、ブランドマネジメントする上で実践的・汎用的に捉えられる限り、『ブランド=意味』で困ることはありません。その構成要素であるブランドのパーパス(大義)やブランドのベネフィットなどを世の中にどう伝えていくかが大切です」
 

ブランドのベネフィットや消費者を考える

 
ブランドマネジメントでは「消費者(ターゲット)」と「ベネフィット(便益)」が最初に考えるべきことであり、そのブランドにしか提供できないベネフィットや体験を創出できることが肝要だという。

「ブランドが関係を語るとき、ブランドとユーザーの関係を考えがちですが、ブランドと密接な関係を持ちたいユーザーはあまりいません。むしろ、彼らが大事にしている誰かとの関係にポジティブに影響することができれば、きっとブランドを好きになってくれるでしょう。人と人との関係がブランドのベネフィットによって好転すれば、おのずとユーザーの心や記憶に残ります。そのためには、ユーザーが社会との接点としてもっているそれぞれの「自我」をよく理解しましょう。

また音部氏は、ブランドマネジメントやPR戦略を立案し、実行に移す場合には「目的を明確にする」ことが大切だと強調する。

「例えば商品のサンプリングでは、配布を通して幅広いお客様に出会う、などと目的を設定しがちですが、これは目的というよりも作業の記述なので、あまり良いとはいえません。どこのエリアで、どんなターゲットユーザーに対してどのくらいの数を配るのか、などと明確化しても、それはサンプリングという作業実行の指示に過ぎず、サンプリングの目的ではありません。新規購入者を獲得したいのか、あるいはリピートを増やしたいのか、といった「サンプリングがある場合とない場合の差」こそが、プロジェクトの目的です。背負うブランドのターゲット消費者やベネフィットを明確に理解するとともに、ブランドが掲げる大義(パーパス)を意識することは、PRパーソンとして大事なことだろうと思います。」

組織やブランドの代弁者として、「どのように伝えるか」と同じくらい、「ブランドのなにを伝え、消費者になにを理解してもらえるか」が問われてくるのではなかろうか。
 

PRパーソンは“リレーのアンカー”のような存在である

 
第2部のWorking Sessionでは、株式会社マクアケの矢内氏が登壇。
「サービスの成長とピンチを『背負う』 PRに必要な5つのキーワード」をテーマに、Makuakeのサービス成長を支えたPR広報術の一端について語るセッションとなった。

Makuakeの広報組織の立ち上げから関わる矢内氏は、これまで幾多の修羅場をくぐり抜けてきたわけだが、本講義の「背負い力」を学ぶに最適な、示唆に富んだ事例があるという。

「和歌山発のバイクメーカー『glafit(グラフィット)』の事例は、PRパーソンとしてのスポークスパーソンシップの重要性を感じたものでした。glafitの社長からの一言に『魂を込めて作った商品だが、もし売れなかった際に後悔するならば、ターゲットとするお客様にきちんと情報が届かず、正しく知ってもらえなかったために売れないことだ』というものがあり、私自身とても心を揺さぶられたのです。

どんなに熱量高く、自信を持って作ったものでも、支援の輪が広がらなければ日の目を見ないまま終わってしまう。せっかくの灯を途絶えさせず、Makuakeを通して次なる成長へ向けたきっかけづくりになるような重大な責任を背負うことが、いかに大切なのかを感じました。プロジェクト発起人が想いを込めて作ったサービスや商品について、PRパーソンは伝えるべき情報をしっかりと設計し、的確に届けたい人へ向けて発信する“リレーのアンカー”のような存在だと考えています」
 

Makuakeのサービスを体現した言葉に再定義

 
Makuakeはクラウドファンディング市場をリードし、事業成長を遂げてきた。
そして、2019年12月には東証マザーズ市場へと上場を果たす。
 

 
現在は「クラウドファンディングサービス」ではなく「アタラシイものや体験の応援購入サービス」という形で、ローンチ時のクラウドファンディングという呼称を使わずに訴求を行なっている。

矢内氏は「クラウドファンディングのイメージである『寄付金集め』や『個人の活動資金集め』と、Makuakeのサービスの実態にギャップがあり、そのイメージを変えていく必要があった」とし、こう話す。
 

 
「日本でクラウドファンディングサービスが登場した2011年頃は、ちょうど東日本大震災と重なり、社会貢献や寄付といったイメージが醸成され、さらにはインターネットを活用した新たな資金集めの手段として認知されていました。他方、Makuakeはどちらかというと、資金調達よりも産業支援の側面が強く、メーカーが一般販売前にどれだけ売れるかのテストマーケで利用したり、オープン前の飲食店がPR目的でプロジェクトを立ち上げ、認知度拡大とともにリターンをうまく活用して新規顧客の来店に繋げたりと、産業の活性化や事業者の新たな試みを支援するのが特徴的でした。上場を機に、“応援購入”という形でMakuakeの強みを改めて言語化し、様々な業界の矢面に立つ作り手や担い手をサポートするプラットフォームを目指したいという想いから、新しいサービスの定義を作りました」
 

背負い力を整理した5つのキーワード

 
最後に矢内氏はPRパーソンに求められる背負い力を整理した5つのキーワードを掲げた。

①理解
②バランス、360度視点
③信頼構築
④責任
⑤行動

「これら5つのキーワードは、攻めと守りのPR・ 広報活動において大事なものとなってきます。PR対象物そのものの理解や周辺環境の状況把握、物事を多角的な視点から捉え、コミュニケーションを設計すること。そして、メディアリレーションを築くことやPRパーソンたる振る舞いや言動の責任、および行動がPR対象物の価値向上にもブランド毀損にも繋がるというマインドセットを持っておくのが、何より大切になってきます」

PR対象物を背負う立場として、PRパーソンに必要なブランドマネジメントやスポークスパーソンシップの理解。世の中の時流を汲みながらも、想定され得るリスクリターンを把握し、適切なコミュニケーション設計を行えるかが、PRパーソンに求められるだろう。

次回は、世の中の潮流を的確に読んでPR主体の最適解を出すために必要な「見立て力」について議論を深めていく。

「SCALE PR ACADEMY」は第2期に突入し、初年度はすべて無料で公開してきたACADEMYコンテンツを一部有料化して提供している。この記事よりもさらに深く学びたい方、WorkingSessionで講師と直接会話したい方、そんな方々にはぜひリアルタイムでご参加いただきたい。

エントリーはこちらから。
https://scale-academy2.peatix.com/
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古田島大介

ライター
2014年2月に「The life always new」をコンセプトにCINDERELLAを創業。ジャンルに問わず、キュレーションメディアやSEOライティング、タイトルワーク、記事ネタ出しなどに携わる。 最近では取材ライターとして国内外の観光スポットやイベントに足を運んだり、企業ブランド・サービスのインタビュー取材を主に従事。 またSNSや繋がりのあるPR会社から送られるプレスリリースをもとに、執筆依頼をいただく場合もあり、活動は多岐にわたる。 モットーはメジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ること。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に社会のA面B面を深堀していく。
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